すべての工程を人の手で...

実は、何気なく使うには有り余る程の職人の技術と行程が詰め込まれています。
このページでは、型紙を生地に糊付けする工程から乾燥、仕上げまで、
いずれも熟練の職人の手で行われる「注染の工程」をご紹介してまいります。

  • 01-型彫り

    注染に必要な型紙は伝統的な製法で作られた「伊勢型紙」に、熟練の型彫師が染め上がりをイメージしながら彫り上げています。

  • 02-型彫りの道具

    筆のかすれの表現など、まるで絵筆を操るようなしなやかな刃さばきが必要です。また、錐彫りや緩やかな線などを彫り分けるためには多彩な道具を使い分けます。

  • 03-錐彫りされた型紙

    職人技ならではの温かみは、仕上がりに多大な影響をもたらします。染料が入りやすいよう斜めに刃を入れたり、柄を見て彫りに強弱をつけたり。

  • 04-昔からかわらぬ注染工場

    100年とも150年とも言われる注染の歴史。その年月の中でも、ほとんど機械化の波には乗らずに、手仕事としての「伝統工芸」が守られてきました。そんな注染工場は今も変わりません。

  • 05-世界的に珍しい小幅の和晒し

    世界でも珍しい「小幅の織機」を使用した浴衣や手拭いの「和晒し」は、幅が30cm〜40cm。短辺の端が織り返され止まっているので、長手方向は「切りっぱなし」が可能になりました。そのため端縫い加工も不要となり、乾きも早く、自由に切ってそのまま使える手拭いの可能性を広げました。

  • 06- 防染のりを作る工程

    注染の染めない部分を作る「防染のり」は、海藻のり、澱粉のりを適度に混合して作ります。ほぼ食品材料からつくられるこの「のり」は、毎日作られ、工場(こうば)の作業はここから始まります。

  • 07-糊置き工程の“板場”(いたば)

    出来上がった防染のりを、Z型におり重ねた和晒しの上に「型紙」を重ねて、シルクスクリーンのようにヘラで塗っていきます。この工程は一枚一枚、丁寧に行われ、とても体力が要求される肉体労働です。

  • 08-“板場”(いたば)その2

    最終的に3尺(90cm+)ほどに切って使う「手拭い」では省かれますが、一反をそのまま長尺で使用される「浴衣(ゆかた)」の注染では、「型継ぎ」と呼ばれるとても高度な細かい技術が要求されるものもあります。職人として10年以上を要すると言われる注染の醍醐味です。

  • 09-染色を行う“紺屋”(こうや)

    無地の晒しに「のり置き」が終われば次は「紺屋」(こうや)と呼ばれる工程です。防染のりがない部分にそれぞれの色を注ぎ染めていきます。使用される道具は「やかん」。この工程から「そそぎ染め」、「注染(ちゅうせん)」と呼ばれています。

  • 10-注染の道具-その1:やかん

    さまざまな大きさの「やかん」は、染料やお湯を微調整しながらそそぎ出し、細かなぼかしを表現するための職人の手道具です。近年ではその特注していた生産工場が廃業などでごく少数になってしまい、とても貴重なものとなってしまいました。

  • 11-“板場”(いたば)の風景

    この風景も、何十年以上ほとんど変わらないもので、機械化も、効率化もほとんどありません。いわばスロー・テクノロジー。純手作業の伝統工芸と言えます。このスローなテクノロジーこそ、注染独特の「やわらかさ」「やさしさ」が生まれる秘密です。

  • 12-水洗いの工程

    少しばかりの機械化、自動化が進んだ水洗い工程。ここで、防染のりと余分な染料が落とされます。昭和50年ほどまでは、工場裏の河川で行われていた作業です。河川や海洋の富栄養化防止のため、今では河川で行われることはなくなりました。

  • 13-立て干し工程

    染め直後の第一次乾燥工程では、可能な限り(天候が許す限り)屋外の風に当てる「立て干し」がおこなわれます。かつて日本全国の町場に100件ほどもあった、注染工場の象徴的な風景でした。乾燥機などを使うより、軽く、ふんわりとした肌触りに仕上がります。

  • 14-その後行程

    乾燥後には、一旦地巻きし、整理され、1枚づつにカットされます。この時に同時に和晒しの品質検査、染めの品質検査、そして不良品の抜き取りなどが行われます。その後に、最終の軽いアイロン掛けやたたみ、帯かけ、袋詰めなどの工程を経てやっと製品として出荷されます。

  • 15-動画でもご覧いただけます

    約5分の動画にまとめました。こちらからご覧ください。

    https://youtu.be/bTKyBdJnNyU